「ならゆんおきなわ勉強会」開催への福岡市人権啓発センター(ココロンセンター)の不当な対応について

私たち「ならゆんおきなわ」が主催し「福岡YWCA平和グループ」「沖縄とむすぶ市民行動・福岡」が共催して、偶数月第4土曜日におこなっている「ならゆんおきなわ勉強会」の第18回(2018年2月24日、「軍隊と性暴力について」講師:木下直子さん)と第19回(2018年4月28日、「『宮古島でミサイル基地建設が始まった』〜標的の島で子育てする私たちにできること〜」講師:石嶺香織さん)の会場として使用申請をして許可されていた福岡市人権啓発センター(ココロンセンター)の研修室の利用について、ココロンセンターは2018年2月22日付で、一旦許可した2月24日と4月28日の会場使用を「お断りします」と通知してきました。

ココロンセンターは、「申請は『勉強会』として出されているが、実態が『講演会』であり申請内容と異なる。2月21日までに是正しなければ使用を認めない」と言いながら、私たちが「『勉強会』と『講演会』の違いは何か?根拠を明らかにせよ」「何をどう是正しろというのか」と説明を求めても説明せずに時間を引き延ばし、その上に「地方自治法244条」を持ち出し「ココロンセンターは『公の施設』ではない(から利用を断っても問題ない?!)」という驚愕する主張をおこなうに至りました。

昨年2017年8月26日に私たちが同所で、沖縄県宮古島市在住の石嶺香織さん(当時・宮古島市議)を講師にお招きし「ならゆんおきなわ勉強会」を開催した際、ココロンセンターに外部から「石嶺香織市議を講師とする催しに会場を貸すな」という申し入れがあったことが、同10月3日にあった「ならゆんおきなわ」のFacebookページへのコメントで発覚しました(私たちは、このコメントがあるまで、このような申し入れがあったことを全く知りませんでした)。「ならゆんおきなわ」メンバーが同日夕方、ココロンセンターに赴き、そのような申し入れが実際にあったことを確認しましたが、しかし一方で、窓口職員が「個人的見解」とした上で、宮古島への自衛隊配備をめぐる石嶺香織さんのFacebookでの書き込みを「自衛隊に対する職業差別でひどい」と発言したため、その発言に抗議すると共に、ココロンセンターとしての公式見解を求めました。

翌10月4日、ココロンセンターの人権相談係長から電話があり、ココロンセンターとして公式に、宮古島への自衛隊配備をめぐる石嶺香織さんのFacebookでの書き込みを、産経新聞の報道と宮古島市議会の議事録のみを根拠に「自衛隊に対する職業差別」と判断し、しかし石嶺香織さんが宮古島市議会で発言を撤回したので、8月26日の使用をそのまま認めた、としました。

私たちは、福岡市の人権行政をつかさどる福岡市市民局人権部人権推進課の直轄であるココロンセンターに「軍隊と性暴力は密接に結びつき、人権問題を生み出している」という認識がなく、国・沖縄防衛局が宮古島の地域住民の声を聞かず強引に進めている宮古島への自衛隊ミサイル部隊配備問題についての石嶺香織さんのお話を聞く機会を封じようとする勢力に与しようとする対応はおかしい、として、荒木龍昇福岡市議の御協力を得て、ココロンセンターに問題点を質し、12月16日には直接ココロンセンターの所長・人権相談係長と対面して交渉しました。

私たち(主催3団体の計4名+勉強会にも参加している弁護士1名)は、荒木市議の同席の下で、外部からの申し入れに基づき石嶺香織さんのFacebookの書き込みを「自衛隊に対する職業差別」と判断した経緯や、ココロンセンターの施設の利用許可に関わる判断基準などについて、あらためてココロンセンターに質しました。加えて、大阪府泉佐野市の市民会館の使用をめぐる最高裁判決などを挙げて、福岡市の直轄の施設である人権啓発センターが恣意的な判断で利用を認めるとか認めないとかいう判断をしてはならないと訴えました。しかし、ココロンセンター側の回答は、一職員が「個人的見解」として発言をしたことに対してはおわびがあったものの、それ以外については平行線をたどりました。

また、この際にココロンセンター所長が、講演会と勉強会の違いを「一般論として」と前置きした上で“「勉強会」は内向けなもので「講演会」は外向けなもの”と述べましたが、その後の会場使用拒否にあたって私たちが具体的なその違い(法的根拠や使用規定等)を示すよう求めましたが、私たちの正当な手続きを取り消しできるような根拠は最後まで示されませんでした。

ならゆんおきなわは、その名の通り「沖縄を学ぶ/沖縄に学ぶ」ことを目的とした市民グループであり、たとえ三線のライブであろうと、映画の上映であろうと、隔月1回の私たちの企画は全て“勉強会”という名で開催しています。私たちは、12月16日の交渉の際に、直接ココロンセンター所長と人権相談係長に「今後、軍隊と性暴力というテーマで勉強会をする」「その勉強会に出席して一緒に学んでください」とお願いをしました。それを聞いておきながら、一旦許可した2月24日および4月28日の会場使用を「拒否」しました。それについて、ココロンセンターはあくまでも私たちの手続き上の瑕疵(「勉強会」か「講演会」か)のみを処分理由にしていますが、実際は昨年8月以来の私たちとココロンセンターの間のやり取りの延長線上に起こっていることであり、更に「ココロンセンターは地方自治法第244条に定める『公の施設』ではない」「ココロンセンターで開催される催しは全てココロンセンターの主催行事扱いとなり、『公の施設』のようにただ会場を貸すのではない(から内容に干渉することも許される)」として、泉佐野市市民会館をめぐる判例を無視し、恣意的な判断で会場を貸さないことを正当化する態度を示しています。

何よりも、宮古島で現在進行中の、国による自衛隊ミサイル部隊配備・基地建設強行が、環境破壊、地下水汚染、弾薬庫の危険性、「軍隊と性暴力」の問題など、様々な住民の異議・抗議・懸念の声を一切聞かず、自治会の反対決議を無視して暴力的におこなわれている「人権侵害」(と共に、基地建設に異議・抗議・懸念の声をあげる住民に対する誹謗中傷)の一環であり、重大な人権問題であることを、「自衛隊員に対する差別」と問題をすりかえ頑として認めないココロンセンターの姿勢こそが、問題であると私たちは考えます。

ココロンセンターが2月24日および4月28日の会場使用を拒否したことに伴い、私たちは代替会場の確保やチラシの作り直し等の実害も被っています。

私たちはこの間、この問題についてどう対処するか、慎重に検討をしてきましたが、本日をもって、この件を正式に公にすると共に、今後、あらためてココロンセンターに対して、この問題を質すための交渉の場を求めていきたいと思います。

 


2018年4月28日

ならゆんおきなわ
福岡YWCA平和グループ
沖縄とむすぶ市民行動・福岡